営業よもやま話

ベンチャーキャピタルの営業の話

<なぜベンチャーキャピタル(VC)を選んだか>

BConは一般的に営業職を10年経験し、営業所長を経て、つまりマネジメントを経験してからコンサルタント部門に異動するというキャリアパスが敷かれていました。

私は人よりも倍の時間大学に通い、ただでさえ社会人としてのスタートが遅れてしまっているという思いがあり、2年間人よりも努力してやり切った感もあったため、次のステップに移る決心をしました。

私には社会人になる前から40歳までには自分の会社を持ちたいという漠然とした目標がありました。

そのためにはどうしても身銭を切って投資する手法と目指すべきベンチャー企業のイメージ作り、起業家との出会いの場作りが私には必要でした。

私がBConに在籍して最後まで拭えなかった劣等感、それは戦略コンサルに入社していれば達成できていたかもしれませんが、人事コンサルティング会社の若造では「計数の領域」に踏み込めない、つまり人事コンサル=経営コンサルではないということでした。

<とんでもない会社に入ってしまった~その2~>

次はベンチャー投資の専門集団であるベンチャーキャピタル一本に照準を合わせ、たまたまオリックス・キャピタルにご縁を頂きました。私の仕事は有望なベンチャー企業を見つけて、投資をする、させてもらう、というものです。

28歳。また苦労の毎日が始まりました。どうやら自分は苦手分野を克服したいというMっ気があるのかもしれません。

ほとんど油の乗り切ったメガバンク出身の方が大勢を占める組織に、投資手法はおろか、B/SもP/Lもろくに読めない30歳前のもはや新人とは呼べない私がポンっと入ったわけです。

投資営業部配属された初日のチーム会議はほとんど、外国人だけの討論会に入れられたような感じでした。

EBITDA、WACC、β、PV、PER、IRR・・・????

容赦ない未知の言葉のシャワーを浴びせられ、途方に暮れました。

<新しい世界>

右も左もわかりませんが、とにかく、これまでの経験を生かして有望なベンチャー企業にアポイントをとって訪問しなさい、と上司に言われ、新聞、TV、ニュースで見た面白そうなベンチャーへ片っ端から電話をする毎日が始まりました。私は社内の誰よりも電話をしました。でも、不思議なことに私と同じように事務所で新規の電話をする人はいませんでした。数週間はなぜそれでアポイント先に訪問できているかわかりませんでしたが、後になってそのからくりがわかります。

アポイントをとれた会社に訪問する。私の知識不足はすぐにチーム内で知られるところとなり、入れ替わり立ち代わり、課長や先輩が同行してくれました。ターゲットは業種をあえて絞らず、ソフトウェア、人材系、半導体、ヘルスケア、次世代通信系、EC、コンサルティング、ネットゲーム、それも様々なステージの企業へ訪問しました。社長やCFOとお会いし、都度その業界の展望と財務状況について先輩のトークを通してヒアリングをし、反芻をしていくうちに、何を聞いて、何を判断するべきか徐々につかめてきました。半年たったころには既存投資先の株主総会に株主代表として出席するようになり、ベンチャー企業が株主から何を要求されるのか生で聞く機会も得ました。

<先輩の営業手法>

なぜ、先輩は電話せずに商談をセットできているのか?

ベンチャー投資事業は証券取引所の株取引と同じ、株を購入して値が上がったところで売却することでその売却益が収益となる点は同じですが、証券取引所に上場している株式と異なり「未上場株」というところが大きな違いになります。未上場の会社の株式を購入し、最後は上場またはM&Aや資本提携等による株式の第三者への売却をすることで初めて収益(企業価値が毀損され、株価が下がればもちろん損失)を生むことになりますので、流動性を持つ証券取引所が管轄する株式市場と異なり、流動性のない未上場株を購入することはリスクですが、VCの醍醐味はその投資先企業の支援をして直接的に企業価値を上げることができる、という点にあります。そういった支援を行うことを「ハンズオン」といい、そういう立場をとるVCは創業期に株式を取得し、その後の投資先の資金調達をはじめ経営方針にも口出しをし続けるケースが多いため「リードVC」と呼ぶます。しかしながら、オリックス・キャピタルは、いわゆる「マイナー分散投資」と呼ばれるコバンザメ商法で、1社に大きく資金をつぎ込むのではなく、多数の有望な会社に分散して少しずつ張る、という戦略をとっていました。この戦略をとる会社では、有望な企業を口説き落とす、あるいは支援するというスタンスよりは、「出資を求めている企業の情報」を多くとることを何より求められ、先輩たちは上場に必要なプレーヤーである「証券会社」「監査法人(会計士)」「証券印刷会社」「同業VC」「ブローカー」の人脈を使っていました。新規営業をするよりもお互いに紹介仕合って訪問する方がはるかに効率が良かったのです。こういう手法があるんだ、とBCon時代では考えられなかった方法を知り目から鱗でした。

 

<忘れられない一場面>

VCには自分のお客様以外にもたくさん新規投資検討先企業の社長、幹部が日々来社され出資の申し出をされます。そこで、先方の社長、役員は当社社長、専務、上司の出席する投資審査会でプレゼンをします。

できる限り勉強のために投資審査会には出席しました。どういうポイントで話を聞き、どういう質問をするのか。ベンチャー投資は千三(せんみつ)だと言われています。世の中の新規事業も同様の言葉で説明されますが、要は1000やって当たるのは3つしかないということです。1000社投資して3社ホームランが出てばいい。恐らくその字のままの確率では難しいと思いますが、仮に100社で3社としても確率は低い印象のままです。

その中で一つ印象的な出来事がありました。ある投資先企業が上場直後の挨拶かねて協業の依頼と言う目的で社長以下幹部3名ほどで来社されました。一通りプレゼンが終わった時、私を含めた出席者の中の一人から質問がありました。少子化で拡大する○○層にスポットを当てたビジネスだったのですが、一人のシニアの営業顧問から、その質問があり、直後に「○○層を単に食い物にしているビジネスじゃないか!! 本当に君たちはそれでいいと思っているのか?」と怒声が上がりました。私は先見の明があると言うか、目の付け所のいいビジネスだと思っていたのですが、場の空気は一瞬で凍りつきました。結局この会社は上場わずか数年後に粉飾決算が明るみに出て業況悪化で倒産しました。その時は過激な発言だなと思ったくらいで忘れかけていましたが、VCを離れた後にこのニュースを知り、他にもいくつも投資後に倒産した会社はありますが、このエピソードがあり余計に私にとって印象的な事案になりました。ビジネスは「三方よし」でないと長続きしないんだと強く印象づけられました。

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2020/06/01
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